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身寄りのないおひとりさまは献体ができるのか?

献体は、身寄りがいなくてもできる?

当事務所では、身寄りのないおひとりさま向けの終活支援をしていますが、
ある時、このような質問を受けました。

  • 「私は、医学の発展のために遺体を献体したいのですが、
    身寄りのない私でも受け入れてもらえるのでしょうか」
この記事では、上記の質問への答えとなる、
おひとりさまの献体の可否」について、解説します。

そもそも「献体」とは

答えをお伝えする前に、まずは、献体がどのようなものなのか、確認しておきましょう。

献体は、医学の進歩発展のため、また、医師や歯科医師の養成のため、
自らの意思で、自身の死後、遺体を教育・研究のために提供することを指します。

提供先は主に、医学部や歯学部を擁する大学です。

献体された遺体は、防腐処置を施した上で、大学の解剖実習に利用され、
臓器その他人体の構造を理解するのに活用されます。
また、場合によっては、現役の医師などが、
手術における技量の向上のために活用することもあるようです。

献体の現況

公益財団法人 日本篤志献体協会の発表によると、

令和5年3月31日現在
献体登録者総数32万4,732人
献体済み登録者総数15万5,537人 (出典:日本篤志献体協会公式サイト

となっており、年間の新規登録者数は増加傾向にあるとのことです。
今から50~60年ほど前は、献体の数が少なく、
解剖実習に必要な数の遺体を確保するのに苦労したと伝えられますが、
現在では、十分な数の遺体を確保することができていると言います。

ただし、地域差などで大学ごとの登録数には差があり、
一部の大学では登録受付を一時停止している場合もあるとのことです。

献体を希望するには

もし、献体をしたい場合は、その旨を生前に登録する必要があります

具体的には、献体を受け入れている大学や、
大学が設置する「白菊会」などの献体関連団体に問い合わせをし、
所定の申込書を提出するなどして登録を行います。
なお、登録できるのは1箇所のみですので、
どの大学等に献体したいのか、事前によく検討する必要があります。

希望があっても献体ができない場合

なお、献体をしたいという希望があっても、できない場合があります
具体的には、以下の3つに該当する場合です。

①指定感染症等の発病歴がある

B型肝炎等、受け入れ先の大学等で指定している感染症等の発病歴がある場合、
遺体から学生・教員等への感染を防ぐため、献体登録自体を拒否されます
どの感染症等が該当するかは、各大学等にお問い合わせ下さい。

②臓器提供の意思表示をしている

脳死などに際し、臓器移植法に基づいて臓器や角膜などを移植して良い
という意思表示を既にしている場合、基本的には登録を断られます
(実際に臓器移植がなされた場合、臓器提供後の遺体は、
解剖実習には不向きであるため)

③遺体の受け入れができない事情が生じた

もし、希望通りに献体登録ができたとしても、死亡に際し、

  • 大学等が指定する感染症等により死亡した
  • 事故等により遺体が激しく損傷している
  • 親族等が遺体の引き渡しに反対している
    あるいは献体登録していること自体を把握していない
といった事情がある場合、大学側が遺体の受け入れを断念するため、
生前の希望が叶わないこととなってしまいます。

献体と葬儀、相続を含めた死後の手続きとの関係

ちなみに、献体をする場合も、葬儀を行うことが可能です。
一般的には、葬儀を行ってから遺体を火葬する流れですが、
献体をする場合、葬儀を行ってから遺体を引き渡す流れとなります。

ただし、大学側で遺体の防腐処置を行う関係で、
遺体の受け入れは亡くなられてから48時間以内に行うのが基本です。

そのため、葬儀の日程にあまり余裕がないという点は、
ご親族も含めて事前に認識しておく必要がありますし、
そういった形に対応できる葬儀業者を予め見つけておくことが大切です。

なお、生前に葬儀の希望がなかった場合、葬儀を省略して、
遺体を引き渡すことも可能です。

また、献体をする場合も、献体せず遺体を火葬する場合と同様に、
死亡から7日以内の死亡届の提出・埋火葬許可証の取得(※)が必要となるほか、
遺産分割協議などの相続手続きを含めた、各種の「死後の手続き」も、
順次行うこととなります。

※献体する場合、埋火葬許可証に記載される火葬場の名称は、
 各大学が指定する斎場となります(事前にご確認下さい)。

献体の一般的な流れ

献体をする場合、一般的には以下の流れで行われます。

生前 大学等で献体登録
死亡直後① 親族等から登録している大学等に連絡
死亡直後② 遺体の引き取りについて大学等と調整
葬儀 遺体の引き取り前に葬儀を行いたい場合は、葬儀を行う
遺体の引き取り 大学等の指定業者が遺体を引き取って移送
(この際、死亡診断書のコピー等所定の書類が必要)
防腐処理 遺体の防腐処置を行い、専用の保管庫で保管
解剖実習 大学のカリキュラムに応じ、解剖実習に供用
火葬 解剖実習終了後、大学の費用負担にて火葬
(親族等は火葬に立ち会えないのが基本ですが、
希望すれば立ち会い可能としている大学もあります)
遺骨の引き渡し 大学から親族等に遺骨を引き渡し
(大学によっては独自に納骨堂を有しており、
登録時、そこに納骨することを選ぶこともできます。
この場合、遺骨の引き渡しはありません)
期間 概ね1~3年程度(死亡から遺骨の引き渡しまで)
 

献体を希望するなら心得なければならないこと

ところで、献体は「無条件・無報酬で行う篤志行為である」という大原則があります。
そのため、真に医学の進歩発展を願っている人でなければ、
献体を行うべきではありません

先ほど触れましたが、一般的に献体を行った場合、
遺体は解剖実習等の終了後、大学側において火葬することとされています。
また、大学によっては独自の納骨堂を有しており、そこに納骨することもできます。

このことから、「火葬代・お墓購入費が浮く」という、
献体本来の趣旨から外れた理由で献体を希望する方が増えていると言われています。
しかし、このような理由で献体を希望することは、献体の趣旨に反しますし、
医学の進歩発展を心から願っている人に対して失礼だと言えます。

このことを改めて認識いただければ幸いです。

身寄りのないおひとりさまは献体ができるのか?

献体について一通りご確認いただいたところで、いよいよ本題です。
身寄りのないおひとりさまは、望めば献体ができるのでしょうか。

答えは、ズバリ、

大学等の方針によっては、できる場合がある

です。
このような結論になる鍵は、「親族の同意」にあります。

登録時には、親族の同意が原則必要

実は、献体登録をする際には、本人の意思があることはもちろんのこと、
親族の同意が得られていることを条件とするのが基本です。
なぜかというと、献体はあくまで「遺体を提供」するものだからです。

ご想像いただければお分かりの通り、献体は死後に実施されるものです。
遺体が自ら歩いて提供先の大学に行くことはあり得ませんので、
献体を実施するには、まず、親族が大学等の登録先に一報を入れ、
遺体を移送する手配を行う必要があります

そのため、献体には親族の協力が必要不可欠であり、
誰か一人でも反対している、あるいは協力してくれる親族が一人もいない
となると、大学側としても受け入れが困難になってしまいます。
このような事態を避けるため、登録時点での同意が必要、ということなのです。

参考:親族の範囲について

なお、同意を要する親族の範囲ですが、

同居/別居の有無を問わず、生存中の3親等以内の親族全員

と定義しているところが大半です。
ここでいう「3親等以内の親族」とは、

配偶者
子、孫など直系卑属
親、祖父母など直系尊属
兄弟姉妹
甥、姪
を指し、乳幼児や成年被後見人など自ら意思表示ができない方は除きます。
範囲が広いと感じられると思いますが、
上記の方々はいずれも「法定相続人」になり得る立場で、
かつ、親族として葬儀や火葬などを執り行う可能性がある、
つまり、献体の実施にあたり窓口となる可能性が高い方であることから、
全員の同意を必要としている、というわけです。

身寄りがいないときは…

上記の通り、原則、「親族全員の同意」を必要としていることから、
身寄りのないおひとりさまからの献体希望があった場合の対応については、
下記の通り、大きく2つに分かれています。

ア:おひとりさまからの献体希望は断る

身寄りのないおひとりさまの場合、同意ができる親族がそもそも一人もいない、
しかし大学としては親族の同意こそが登録の絶対条件である、
ということで、希望があっても断る方針の大学等もあります。

イ:一定の条件を満たせば登録できる

親族がいなくても、死後事務委任契約を締結し、
献体に係る事務(必要書類の手配や大学への連絡、遺体の引き渡しなど)を、
確実に引き受けてくれる人がいるということであれば、
その方の同意を親族全員の同意とみなして、
献体登録を受け付ける大学等もあります。

ちなみに…

当事務所が全国の主要な大学等の方針を確認したところ、
上記アの方針を取っているところが多いのが現状です。

そのため、身寄りのないおひとりさまが献体するのは、
地域事情等も関わりますが、難しい場合が多いです。

なお、「医学の発展に貢献したい」ということであれば、献体に代えて
医学部・歯学部を擁する大学に遺贈(遺産を寄付すること)することも、
検討に値すると思います。
特に、私立大学では、遺贈を積極的に受け入れています。

まずすべきは…

上記イの場合、細かな条件が大学等によって異なりますので、
事前に担当者と協議することが必須となります。
まずは、献体登録を希望する大学等がどのような方針を取っているのか、
確認する
ことから始めましょう。
担当者との協議(イメージ)

参考:こんな取り組みをしている自治体も

身寄りのないおひとりさまが献体を希望する場合、基本的には、
上記イの方針を取っている大学等と自ら協議をする必要があります。

そんな中、神奈川県横須賀市では、市が身寄りのない高齢のおひとりさま向けに、
「エンディングプラン・サポート事業」というものを行っており、
その中で、神奈川歯科大学と連携協定を締結していることから、
同大限定にはなりますが、献体登録をすることが可能になっています。

この事業を利用する形で献体登録をした場合、
死後、献体をするための各種事務などは、市が行ってくれます。
(なお、事業の利用にはいくつかの条件がありますので、
事前に横須賀市の担当部署に相談して下さい)

今後、他の市区町村でも同様の取り組みが広がる可能性がありますので、
お住まいの市区町村の動向を注意深く見ていくと良いでしょう。

献体を前提とした死後事務委任契約を結ぶには

上記の通り、死後事務委任契約によって献体に係る事務を引き受けてくれる人がいる、
という形であれば、おひとりさまでも献体ができる可能性があります。

そういう形を取る場合、死後事務委任契約の締結が必要になりますが、
締結にあたっては以下の3点に、特に気をつけると良いでしょう。

①受任者をお願いする人は、子供くらい年下の人にする

死後事務委任契約の相手方(受任者)は、あなた自身が信頼できる人を選ぶべきです。
信頼できるのであれば、法律の専門家はもちろん、友人でも良いのですが、
年齢について、子供くらい年下の人を選ぶのが望ましいと言えます。

なぜなら、あなた自身と近い年齢の人にお願いしてしまうと、
あなたよりも先に亡くなられるリスクがあるからです。

②大学等との協議と同時並行で、死後事務委任契約の内容を決める

献体をすることを前提とした死後事務委任契約になりますので、
登録を希望する大学等との間で、受任者になる予定の方も交えて、
協議をする
ことが必須となります。

また、協議と同時並行で、死後事務委任契約の内容を決めていきます
その際、

献体登録をする大学等の名称、所在地など
 (献体登録の内容)
死亡したら受任者から大学等に必ず連絡する旨
受任者が死亡直後の対応(例えば、入院中に亡くなった場合、
 入院費の精算や病室内の私物の引き取りなど)を行う旨
受任者が死亡届の提出や死亡診断書(死体検案書)のコピーの取得等を行う旨
遺体の引き渡し前に葬儀をする場合、どの葬儀会社に依頼するのか、
 どのような形で、どなたの参列を求めて行うのかなど、
 葬儀に関する詳細

事故による遺体の損傷などで、受け入れが拒否された場合、
 火葬などをどうするかについて

解剖終了後、遺骨の引き渡しを受けた後の取り扱い
 (大学で用意している納骨堂に納骨してもらうのか、など)
を、契約条項として必ず入れるようにして下さい
また、受任者となる方に一定の負担をお願いするのですから、
負担に見合った謝礼を、遺産の中に確保しておくことも必要でしょう。

③任意後見契約を併せて締結し、契約書は公正証書で作る

先ほども述べた通り、身寄りのないおひとりさまが献体をするためには、
死後事務委任契約の受任者となる方に、死亡届の提出をしてもらう必要があります。

しかし、法律上、死後事務委任契約の受任者には、
死亡届を提出する資格がない
のです。

そこで、死後事務委任契約の締結と同時に、
任意後見契約を、死後事務委任契約の受任者となる方との間で、
締結しておくことが重要です。

なぜかと言いますと、任意後見契約の受任者は、
法律上、死亡届の提出ができる立場
だからです。
つまり、「任意後見契約の受任者」として死亡届を提出してもらった上で、
死後事務委任契約の受任者」として遺体の引き渡しをしてもらうことで、
献体の手続きを円滑に行うことができるのです。

なお、死後事務委任契約は私的に作成した契約書でも問題ないとされています。
しかし、任意後見契約の締結は公正証書でしなければならない
と法律で定められていることや、契約をより確実なものとする観点から、
死後事務委任契約の契約書も、任意後見契約の締結と同時に、
公証役場で、公正証書の形で作成するのが基本です

当事務所のサービスご利用で、献体をご希望の場合

ちなみに、当事務所では、身寄りのないおひとりさまに向けたサービスとして、
おひとりさま向け安心終活プラン」を提供しております。
このプランの中で、献体をご希望の場合にもご対応が可能ですが、
以下の条件にすべて合致、また、ご同意いただくことを前提としております

  • 真に医学の発展を願って、献体を希望していること
  • 献体登録を希望する大学等が、身寄りのないおひとりさまであっても、
    死後事務委任契約を締結し、受任者が献体に係る事務を行うことを認めており、
    当事務所代表を含めた三者での協議で、献体を受け入れることで一致したこと
  • 原則として、献体登録を希望する大学が独自の納骨堂を有しており、
    当該納骨堂に遺骨を納骨することにご同意いただけること
  • 献体のできない感染症等の発病歴がないこと
  • 既に臓器提供の意思表示をし、あるいはアイバンクに登録していないこと
  • 事故など、献体の受け入れができない事情で死に至った場合、
    代替としての葬儀・火葬・納骨(お墓の生前確保を含む)について、
    ご自身の確たるご希望があること

    (この点、当事務所と相談しながら決めることができます
  • 万一、献体ができなかった場合の火葬費用等も含め、
    献体を含めた死後事務の履行に必要となる費用を、
    死亡時に確実に確保できていること

    (確保方法については、ご相談時にご案内いたします)

状況によっては、献体を断念いただいた上で、
おひとりさま向け安心終活プランの中で作成する遺言書において、
遺産の大学等への寄付(遺贈)をご提案することもございます

もし、条件に当てはまる方で、献体をしたいというご希望がありましたら、
ぜひ一度ご相談いただければ幸いです
身寄りのない”おひとりさま”のあなたへ。
現在から死後に至るまで安心することができる終活プランで、
行政書士 奥田航平が、あなたを支えます。

>>おひとりさま向け安心終活プランの詳細はこちら
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