海外から遺骨を移動し日本国内で埋葬(納骨)する場合の改葬手続きについて
海外で亡くなられた場合、選択肢は2つあります
日本人が海外への旅行中、あるいは中長期在留中、
急病や事故などでお亡くなりになられることがあります。
以下の2つの方法が考えられます。
①ご遺体を棺に入れ、飛行機で帰国させる
まず考えられる方法として、ご遺体を棺に入れ、飛行機で帰国させたのち、
日本国内で葬儀・火葬をする方法が考えられます。
大使館での手続き、搬送業者と日本での葬儀社の手配が必要となることから、
やや高額になる傾向があると言われています。
②現地で火葬・埋葬する
もう一つの方法として、現地でご遺体を火葬することが考えられます。
(宗教的事情や地域により、火葬ができない場合もあります)
現地の方と結婚なさったなどの場合、現地のお墓に埋葬することも考えられます。
では、改葬手続きとの関係は?
ところで、上記の説明を読まれただけだと、このページのタイトルとの関係がわからない、
という方もいらっしゃると思います。
ご安心下さい。これから説明いたします。
①ご遺体を帰国させてから火葬する場合
この場合は、ご遺族がご遺体とともに帰国してから、市区町村に死亡届を提出し、
市区町村発行の埋火葬許可証を受け取って、火葬・納骨する、という流れになります。
②現地で火葬する場合
一方、現地で火葬する場合は、現地の自治体で火葬の手続きをすることから、
日本の市区町村発行の埋火葬許可証が存在しません。
そのこともあり、現地で火葬して、遺骨を日本に持ち帰り、日本国内の墓地に埋葬する場合、
厚生労働省からの通達で、「改葬許可が必要」とされています。
海外で火葬した焼骨の埋蔵又は収蔵をするための許可について
(令和2年11月6日)
(薬生衛発1105第1号)
1 海外で火葬した焼骨の埋蔵等をする場合には、
これを法第2条第3項に規定する改葬とみなし、
焼骨の現に存する地の市町村長又は死亡の届出を受理した市町村長が
特例として改葬許可を行うこと。
2 1の改葬許可を行うに当たり、当該市町村長は、
海外で火葬したことの事実を証する書面を発行し、
これを墓地、埋葬等に関する法律施行規則
(昭和23年厚生省令第24号)第2条第2項第1号に規定する墓地又は
納骨堂(以下「墓地等」という。)
の管理者の作成した埋蔵等の事実を証する書面に代えること。
3 墓地等の経営者及び管理者に対し、
1及び2の取扱いについて遺漏のないよう周知いただくこと。
一般的に「改葬許可申請」は、墓じまいやお墓のお引っ越しのため、
ご遺骨を現在のお墓から新しいお墓に移すために必要な手続きです。
法律上の明確な規定が存在しないことから、
厚生労働省としては、この場合にも改葬許可申請で対応する、
という方針を示していることになります。
参考:現地で火葬する場合の死亡届について
現地で火葬をする場合でも、日本の市区町村への死亡届の提出が必要となります。
やり方ですが、
亡くなられた方の本籍のある市区町村にて提出
・現地の日本大使館に提出
の2つから選ぶことができます。
なお、現地の日本大使館に提出した場合、
亡くなられた方の死亡の事実が戸籍謄本に記載されるまで、
約1ヶ月を要しますので、その後の相続手続きに遅れが生じる場合があります。
改葬許可をどの市区町村に申請するか
海外から遺骨を日本に持ち帰り、日本で埋葬することを理由として改葬手続きをする場合、
どの市区町村に対して改葬許可申請をするか、が問題となります。
その点、先ほどご紹介した厚生労働省の通達の内容から、基本的には、
「申請者が住んでいる市区町村」
となります。
ここでいう申請者はご遺族のことを指しますが、例えば、国際結婚をしていて、
配偶者など身近なご家族が日本には誰一人住んでいない場合、
亡くなられた方のご両親や兄弟姉妹など、日本に住んでいるご親族の方が、
申請者として改葬手続きをすることになります。
なお、実際には、
「納骨する墓地のある市区町村」
改葬手続きに際して必要となる書類
では、改葬手続きをする際にはどのような書類が必要となるのでしょうか。
一般的には、以下の書類が必要です。
①改葬許可申請書
市区町村ごとに所定の様式が用意されています。
市区町村役場でもらう、またはインターネットからダウンロード・印刷し、
必要事項を記入します。
埋蔵証明書の部分は空欄のままで大丈夫です。
②受入証明書(使用承諾書などとも言います) 原本
日本国内での納骨先がどこなのか、を示すための書類です。
必ず受け取り、忘れずに添付して下さい。
③死亡証明書 原本、コピー及び翻訳文
死亡の事実を証明するための書類です。
日本で言えば「死亡診断書・死体検案書」や、「死亡届受理証明書」にあたるものです。
現地の公的機関で発行を受けて下さい。
(国によって発行の受け方は異なるため、詳細な解説は省略いたします)
なお、原本が1枚しか発行されない国もあります。
相続手続きで原本の提示が必要となる手続きがいくつかありますので、
あらかじめコピーを取り、原本提示・コピー提出の形をお取り下さい。
それを日本語に翻訳したものを、別途用意する必要があります。
④火葬証明書 原本、コピー及び翻訳文
現地で火葬したことの事実を証明するための書類です。
日本では、埋火葬許可証の裏面に火葬場の係員の方が必要事項を記入し、
それをもって火葬証明書としていることが多いですが、
これも国によって発行方法などが異なりますので、
事前に確認の上、現地で火葬の際に発行を受けて下さい。
翻訳文を別途用意する必要があります。
⑤戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍謄本)
亡くなられた方の死亡の事実が戸籍に反映されていることと、
申請者と亡くなられた方との関係を確認するために、必要となります。
言うまでもなく、「死亡の事実が戸籍に反映されている」ことが必要ですので、
死亡届を現地の日本大使館に提出した場合、
改葬手続きができるようになるまで、数日~数週間程度待たされる場合があります。
申請を行う市区町村にある場合には、市区町村のデータベースで照合できるため、
提出が不要となることもあります。
⑥現地で死亡~改葬手続きに至る経緯を記した書面
なぜ現地で亡くなるに至ったのか、その経緯を記すとともに、
現地での火葬の状況、ご遺骨をいつ日本に持ち帰り、現在はどこに仮置きしているのか、
といったことをまとめた書面を作り、改葬許可申請書と一緒に提出します。
指定の書式はないため、パソコンや手書きなどで作成できます。
参考:遺骨証明書について
改葬手続きに必要な書類ではありませんが、関連する書類として、遺骨証明書があります。
これを申し込むと、ご遺骨を日本に持ち帰る際、遺骨箱に貼ってもらえます。
その結果、空港の通関窓口で荷物・貨物のチェックが行われる際、
ご遺骨であることがわかるため、骨壺を開けて中身のチェックを受けずに済みます。
必要な書類を揃える際の注意点
上記で見てきました、改葬手続きに必要な書類ですが、
実は、全国一律で「これが必要」と定められているわけではありません。
また、提出書類のうち、現地で発行を受ける書類についても、国によって、
その種類や内容が上記のご紹介と異なっていることがあります。
そのため、上記でご紹介した書類の一部が、市区町村によっては不要な場合もあります。
一方で逆に、上記に記載のない書類を提出するよう求める市区町村もあります。
さらに、同じ市区町村であっても、個々の事情により、
提出を求める書類が違ってくる場合もあるのです。
加えて、現地で発行された証明書の翻訳文についても、
申請者本人が作ったものでよい、とする市区町村がある一方で、
第三者による証明を求める場合もあると聞いています。
そのことから、
- 改葬手続きをする予定の市区町村に、事前に連絡して確認してから申請する
ご遺骨を海外から日本に持ち帰り、
日本国内で埋葬する場合の改葬手続きは、行政書士にご相談を
このように、海外でご遺体を火葬し、ご遺骨を日本へと持ち帰って日本国内で埋葬する場合、
通常とは異なる、特殊な改葬手続きをしなければなりません。
改葬手続き自体が日常的に行う手続きではない上、用意する資料の多さや、
市区町村との事前の調整を要することから、不安を覚える方もいらっしゃると思います。
改葬手続きのプロである行政書士に、ご相談なさることをお勧めします。
当事務所の「墓じまい・お墓のお引っ越しサポートサービス」でも承ります
なお、手前味噌で恐縮ですが、
当事務所の「墓じまい・お墓のお引っ越しサポートサービス」では、
海外からご遺骨を日本に持ち帰り、日本で埋葬するための改葬手続きを承ります。
現地で発行を受ける書類につきましては、当事務所での代理取得ができかねるため、
あらかじめご用意をお願いする形となりますが、市区町村との事前調整や、
国内で取得する書類の代理取得、申請書の作成、改葬許可の申請と許可証の受領に至るまで、
あなたのご負担を最小限にできるようにいたします。
新しいお墓選びから改葬許可申請まで、
行政書士に任せるのがオススメです!
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