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任意後見契約をする際、任意後見人にどんな代理権を与えられるのか?

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任意後見契約を結ぶ際、一番重要なのが「代理権」です

任意後見契約を考えている夫婦(イメージ)
任意後見契約は、
ご自身が認知症などになり、
判断能力を失ってしまった際に、

  • 財産管理
    (年金入金の確認や、
    各種支払いなどの代理)
  • 身上監護
    (入院手続きや、
    介護施設の入居手続きなどの代理)

を、信頼できる第三者にお願いするための制度です。
この任意後見契約をする場合は、契約書を作ることになるのですが、
その内容を検討する際、最も重要なのが、

  • 任意後見人をお願いする方(受任者)に、どのような代理権を与えるか

です。
そこで、この記事では、一般的に任意後見契約がなされる際、
どのような内容の代理権を盛り込むことができるのか、
また、盛り込むことのできない内容があるのか、について解説していきます。

任意後見契約をご検討中の方は、ぜひ参考になさって下さい。

任意後見契約における代理権の性質

本題に入る前に、任意後見契約では代理権にどのような性質があるのか、
についてご紹介します。

任意後見契約は、「任意後見契約に関する法律」の中で、

  • 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、
    療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、
    その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約

と定められています(同法第2条第1項)。
全部又は一部」であることから、代理権を与える内容については、
当事者間の協議により、調整が可能になっている
というのが大きな特徴となっています。

ただ逆に言うと、任意後見契約の中で代理権を与えなかった内容がある場合、
その内容については、任意後見人(受任者)が代理人として動くことができない
ということでもあります。

ですから、どのような内容の代理権を盛り込むのか
そこが任意後見契約をする上ではとても重要である、というわけです。

代理権の内容はどこに記載されるのか

契約書と封筒(イメージ)
ちなみに、任意後見契約の契約書は、
本文」と「代理権目録」の、
2つで構成されています。

契約に基づいて、
任意後見人(受任者)に与える、
代理権の内容については、
「代理権目録」
に記載
されることとなります。

また、任意後見契約は、
公証役場での締結が必須となっているほか、
登記の制度があります。

公証役場で任意後見契約を締結すると、上記「代理権目録」の内容が、
国において登記され、実際に後見を開始する際に、
任意後見人(受任者)が有する代理権の範囲を、登記されている内容と照らし合わせ、
家庭裁判所が確認することになっています。

よく盛り込まれる代理権の内容~財産管理編~

では、任意後見契約を締結する際、具体的にどのような代理権を盛り込むことができるのか、
盛り込まれることの多い内容」を中心に見ていきましょう。
前半は、財産管理に関する内容として、6つご紹介します。

①金融機関などとの取引に関すること

まず、任意後見契約をする趣旨に最も合致し、
任意後見人となる方(受任者)に代理権を与えるにあたって最重要の項目だと言えるのが、
お金の管理に関することです。

その中でも代表的な内容となるのが、金融機関などとの取引です。

一般的には、

  • 金融機関、証券会社及び保険会社とのすべての取引に関する事項

という形で代理権目録に記載しておき、
どの金融機関、証券会社、保険会社と取引をする場合においても、
任意後見人が代理人として様々な手続きを行える
ようにしておきます。
(具体的な金融機関名などは、明記しない方が良いです)

備考:証券会社の口座に株式や投資信託などを有している場合

ちなみに、任意後見契約は、法律上「被後見人の財産を守る」ことが目的とされています。
そのため、運用状況により元本割れのリスクが生じることとなる、
株式投資信託などの金融商品については、
任意後見契約に基づく後見を行うにあたって、運用してはいけない決まりになっています。

そのため、契約者が認知症などになり、
受任者が任意後見人として実際に後見を行うようになった場合、
もし契約者(被後見人)が金融商品を有しているのであれば、
任意後見人は真っ先に、契約者(被後見人)が口座を持つ証券会社に連絡し、
金融商品の売却と口座の解約手続きをする必要があります

もし、認知症になっても、株式などを手放したくないということであれば、
任意後見契約ではなく、家族信託契約を検討することになります。

②定期的な支出に関すること

例えば、契約者(被後見人)が介護施設に入所することとなった場合、
施設の利用料を毎月支払う必要が出てきます。

このように、定期的に発生する支出について、その支払いを行ったり、
支払いのための振込手続きなどを行うことも、
任意後見人(受任者)に与える代理権の内容として、重要な項目の一つとなっています。

一般的には、

  • 定期的な支出を要する費用の支払い及びこれに関する諸手続きに関する事項
といった形で代理権目録に記載しておき、
どのような内容の支出・支払いにも対応できるようにしておきます。

③定期的な収入に関すること

定期的な収入として典型的なものとしては、年金が挙げられます。

年金は2ヶ月に一度、指定の預貯金口座に振り込まれる形で支払われますが、
認知症になると、自分で記帳をして入金の確認をすることが困難になります。
そこで、任意後見人(受任者)が代わりに金融機関で記帳をして、
入金の確認をできるようにすることで、
契約者(被後見人)が安心できる形を作れます。

一般的には、

  • 定期的な収入の受領に関する事項
といった形で代理権目録に記載しておきます。

④生活に必要な物品の購入等に関すること

実は、任意後見契約によって任意後見人(受任者)が後見業務を行う場合であっても、
契約者(被後見人)が自ら食料品、日用品その他生活に必要なものを買うことは可能です。

ただ、ご本人の状態によっては、任意後見人(受任者)が、
契約者(被後見人)に代わって、いわば「おつかい」のような形で、
生活必需品を購入することも考えられます。
そのことを考慮して、代理権を与えておくケースがほとんどです。

一般的には、

  • 生活に必要な物品の購入等に関する事項

といった形で代理権目録に記載しておきます。

参考:任意後見人(受任者)には「取消権」がありません

ちなみに、契約者(被後見人)が自ら生活に必要な物品を購入する際に、
本来必要のないものや、間違ったものを買ってしまう可能性があります。

しかしそのような場合、任意後見人(受任者)には、
その商品を買ったお店と、契約者(被後見人)との間で成立した売買契約について、
それを取り消し、返品する権限は与えられていません

このように、任意後見人(受任者)に「取消権」がないということは、
ぜひ覚えておいて下さい。

⑤不動産に関すること

契約者(被後見人)が住む自宅について、介護が必要となったことで、
バリアフリー化の改修をしたり、入院のため一時的に自宅が空き家となる際に、
防犯や火災防止などの観点から、時々立ち入って管理する必要が生じることがあります。

また、契約者(被後見人)が介護施設に入所することとなり、
その結果、自宅が空き家になるため、自宅を売却し、
売却費用を介護施設に支払う費用に充てることも、状況によっては考えられます。

これらについて、任意後見人(受任者)に代理権を予め与えておくことで、
代わりにやってもらえるようになるため、安心材料になります

一般的には、

  • 不動産の保存、管理、処分に係る契約、ならびに増改築、
    賃貸借の締結及び費用の支払いに関する事項
といった形で代理権目録に記載しておきます。

⑥重要書類等の保管・使用に関すること

任意後見契約では、契約者(被後見人)が有する、

・登記識別情報(ご自宅の権利証)
・実印/銀行印
・マイナンバーカード
・預貯金通帳
・印鑑登録証
・健康保険証
・保険証券(生命保険、損害保険など)

といった、身分や社会保障、財産に関連する重要書類等について、
任意後見人(受任者)に預かってもらうことを内容とすることができます。

もし認知症になった際、これらを預かってもらう場合、一般的には、

  • 〔預かってもらう重要書類等の具体的な名称を列挙する〕、
    その他重要な証書等の保管及び各事項の事務処理に必要な範囲内における、
    これらの使用に関する事項

といった形で代理権目録に記載しておきます。

なお、「使用」も含めて記載しているのは、例えば③の定期的な収入の受領にあたり、
任意後見人(受任者)が代理人として預貯金通帳に記帳をするためには、
預かった預貯金通帳を使用する権限も与えておかなければならないためです。

よく盛り込まれる代理権の内容~身上監護編~

続いては、任意後見契約のもう一つの柱、「身上監護」に関連して、
盛り込まれることの多い内容を、4つご紹介します。

①医療・介護に関わる契約の締結に関すること

身上監護に関連して特にニーズが高いのが、

・契約者(被後見人)が入院または通院する際、
 医療機関との間で締結する「医療契約
・契約者(被後見人)が介護施設に入所する際、
 施設運営事業者との間で締結する「入所契約
・契約者(被後見人)がデイサービスなどを利用する際、
 介護サービス提供事業者との間で締結する「福祉サービス利用契約

の締結を、任意後見人(受任者)が代わりに行えるようにしておくことです。

契約者(被後見人)が認知症などになってしまうと、
もはや自分自身でこういった契約を有効に締結することができなくなるため、
この内容が盛り込まれていない任意後見契約は考えられない
というくらい、重要な内容の一つです。

なお、契約の締結に加え、契約の変更や解除、費用の支払いなども、
併せて代理権を付与しておく
ことが基本です。
一般的には、

  • 医療契約、入院契約、介護契約その他の福祉サービス利用契約、
    福祉関係施設入退所契約の締結・変更・解除、
    及び費用の支払い等に関する事項
といった形で代理権目録に記載しておきます。

②上記以外の契約に関すること

また、上記以外に、契約者(被後見人)が現在している、

・ライフライン(電気、水道、ガスなど)の契約
・クレジットカードの利用契約
・サブスクリプション、習い事などの有料契約

といった各種の契約について、任意後見人(受任者)によって、
その内容の変更解除ができるようにしておくことができます。

特に、「認知症になると事実上利用できなくなるものの契約」や、
介護施設に入居し、自宅が空き家となることで不要となる契約」を、
任意後見人(受任者)が解約できるようにしておくと、
ご家族がいらっしゃらない方でも安心できます。

一般的には、

  • 〔具体的な契約内容を列挙する〕、その他各種契約の変更ないし解約
といった形で代理権目録に記載しておきます。

③要介護認定に関すること

認知症になった際は、国の介護保険制度の対象となり、
介護保険を適用する形で各種の介護サービスを利用できるようになります

その際欠かせないのが、要介護認定です。

要介護認定の申請は、本人またはご家族が行うことが一般的なのですが、
任意後見契約の中で、任意後見人(受任者)に手続きの代理権を付与しておき、
必要に応じて、任意後見人(受任者)に申請してもらうようにすることができます。

一般的には、

  • 要介護認定の申請及び認定に関する承認または審査請求に関する事項

といった形で代理権目録に記載しておきます。

参考:要介護認定について

要介護認定は、介護保険の第1号被保険者(65歳以上の方)を対象に、
申請に基づき、住民登録している市区町村で審査の上、認定されます。
認定にあたっては、所定の調査(面談など)が行われます。

調査の結果、認定が受けられる場合、
要支援1・2」「要介護1~5
の各グレードのいずれかで認定されます。

なお、万一認定された結果に不満がある場合は、
審査請求することで、グレードを上げてもらえる可能性があります。

認定されたグレードにより、利用できる介護サービスの種類や、
自己負担額の上限が異なりますので、事前に必ず、
お住まいの市区町村の介護保険または高齢者支援の部署に確認して下さい

④相続に関すること

契約者(被後見人)のご家族が亡くなり、契約者(被後見人)が相続人となる場合、
認知症によって判断能力が失われていると、相続人として遺産を相続できる立場と言えども、
本人が直接遺産分割協議に参加したり、遺産を受け取ることができません。

そこで、任意後見人(受任者)に、契約者(被後見人)に代わって、
相続手続きをしてもらう
ように、代理権を設定しておくことができます。

なお、一口に相続手続きと言っても、必要となる手続きは、
個々の状況によって異なります。
そのため、一般的には、

  • 遺贈の受領、遺産分割協議、相続放棄、
    限定承認、遺留分侵害額請求に関する事項
といった形で代理権目録に記載しておきます。

代理権として盛り込むことのできない5つの内容

一方で、任意後見契約の中で代理権そのものを設定できず、
盛り込むことのできない内容が、下記の5つあります。

①介護などの事実行為

任意後見契約はあくまで「法律上の行為」を代理してもらうための契約です。
そのため、例えば、契約者(被後見人)に介護が必要な場合であっても、
「介護行為そのもの」は法律上の行為にはあたらないため、代理権を付与できません

介護については、上記の通り、介護契約やサービス提供事業者への費用の支払い、
要介護認定の申請などを代理権として明記しておいた上で、
実際の介護は介護サービス提供事業者に任せる形となります。

②契約者(被後見人)本人の身分に関する内容

例えば、結婚離婚養子縁組離縁といった、本人の身分に関することは、
代理権を行使して実現するという概念自体がありませんので、
任意後見契約の中で代理権を与えることができません。

③医療行為(手術など)に同意すること

病気やけがをした際、契約者(被後見人)がどのような治療や手術を受けるのか、
それを最終的に決めることができるのは本人のみである、という大前提があります。
そのため、任意後見人(受任者)には医療行為についての同意権がありませんので、
代理権も当然にない、ということになります。

ただし、上記の通り、医療契約(入院手続きなど)や費用の支払いについては、
代理権目録に明記しておくことで、任意後見人(受任者)が行うことができます。

また、任意後見契約と併せて、「尊厳死宣言公正証書」を作っておくと、
契約者(被後見人)が医療行為について自ら意思表示ができない状態であっても、
終末期における延命治療の希望などを、医療関係者に示すことができます。

④第三者に関すること

任意後見契約は、あくまで契約者(被後見人)と任意後見人(受任者)、1対1の契約です。

そのため、契約者(被後見人)の家族その他の第三者に関することについては、
たとえその内容が契約者(被後見人)のためであるとしても、
代理権を与えることができません。

⑤死後に関すること

任意後見契約は、契約者(被後見人)が亡くなることで終了します。

そのため、契約者(被後見人)の死後に発生する事務
例えば葬儀・火葬にかかる費用の支払いなどは、
そもそも任意後見契約の対象外となりますので、代理権を付与できません。

死後については、別途、「死後事務委任契約」を締結し、
そちらでカバーしていくことになります。

まとめ:代理権の内容は事前によく検討しよう

如何でしたか。
任意後見契約を締結する場合、代理権としてどのようなことが設定できるのか
ご理解いただけたのではないかと思います。

また、代理権の内容について、事前によく検討することの重要性も、
感じていただけたことと存じます。

任意後見契約は、ご自身が認知症になった際に、
財産管理と身上監護によって支えてもらえる、いわば「保険」のような存在です。

だからこそ、ご自身にとって最もよい形で契約ができるように、
任意後見人(受任者)となってくれる方との間で十分に話し合い、
代理権の内容をどうするか、しっかりと検討することを強くお勧めします

積極的に専門家を利用することもご検討を

なお、実際に任意後見契約を締結する場合、専門的な知識も求められることから、
後見の専門家に早い段階で相談するなど、
積極的に専門家を頼ることも、ぜひご検討下さい。

手前味噌で恐縮ですが、当事務所でもご相談を承ります
当事務所なら、

  • 契約者(被後見人)と任意後見人(受任者)になる方、
    双方からじっくりとお話をお伺いし、
    どのような内容の代理権を盛り込めば良いか、わかりやすくアドバイス
  • 任意後見契約書の文案作成
  • 契約締結に必要な書類(戸籍謄本など)の代理取得
  • 公証役場での公証人の先生との事前調整
  • ご希望があれば、
    当事務所代表(行政書士 奥田航平)が任意後見人(受任者)をお引き受け
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