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日本に住む中国人の方が亡くなったら、遺産を相続できるのは誰か?

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誰が遺産を相続できるのかは、国によって考え方が異なります

ある方が亡くなった時、その方の遺産を相続する手続きが生じるのは、万国共通です。
しかし、「遺産を誰が相続できるのか」、
言い換えると「誰が亡くなった方の相続人として、相続手続きに関わることになるのか」、
については、実は、国ごとに考え方が異なっています

そのため、日本国内で外国人の方が亡くなった場合、
その方が国籍を有する国では、相続について、どのように定めているのか、
を確認することが、相続手続きの第一歩となります。

この記事では、日本国内に住む外国人の方の中でも、
特に人数が多い中国人国籍が中華人民共和国の方を指します。
香港・マカオご出身の方を含み、台湾ご出身の方を除きます
)の方が、
日本国内で亡くなった場合に、どなたが相続人となるのか
日本の相続の考え方とどう違っているのか、を中心に解説します。

中国人の方と国際結婚をしている方や、ご家族で日本に住む中国人の方は、ぜひご覧下さい。

日本に住む中国人の状況について

本題に入る前に、まず、日本にはどのくらい中国人の方が住んでいるのか、
また、どのくらい中国人の方が日本国内で亡くなっているのか、について見ていきます。

日本に住む中国人の人数

総務省が発表している人口推計によると、2024年12月現在、
日本に住む外国人を含めた日本の総人口は、約1億2,374万人となっています。

また、出入国在留管理庁が発表している在留外国人統計によると、2024年6月現在、
日本に住む中国人の方(中長期在留ビザ所有者)は84万4,187人おり、
このうち、死ぬまで日本に住める「永住者」の在留資格を持つ人は、
33万6,086人いるとされています。

そのため、これは参考ですが、

日本の総人口に占める中国人の割合…0.68%(永住者に限ると0.27%)
となります。

日本で亡くなる中国人の方は年間で何人くらいいるのか

厚生労働省の令和5年人口動態調査によると、2023年の1年間で、
日本国内で亡くなった中国人の方は、1,088人いらっしゃったとのことでした。

年によって人数の前後はありますが、
もし今後、日本に住む中国人の人数が80万人台をキープすると仮定すると、
今後も年間で1,000人前後の中国人の方が、日本国内で亡くなられることが想定できます

中国では、誰が遺産を相続できると定めているのか?

ではここからが本題です。
日本に住む中国人の方が亡くなった場合、誰がその方の遺産を相続できるのでしょうか

中国では、このように規定しています

この点を確認するには、中国の法律を見る必要があります

【中国(中華人民共和国)の民法(一部抜粋)】
第1127条 遺産は、次に掲げる順位に従って相続する。
 (1) 第1順位 配偶者・子・父母
 (2) 第2順位 兄弟姉妹・父方の祖父母・母方の祖父母
 2 相続開始後、第1順位の相続人が相続し、第2順位の相続人は相続しない。
  第1順位の相続人がいない場合は、第2順位の相続人が相続する。
 3 この編にいう子は、嫡出子、嫡出でない子、養子、
  及び扶養関係にある継子を含む。
 4 この編にいう父母は、実父母、養父母及び扶養関係にある継父母を含む。
 5 この編にいう兄弟姉妹は、同父母の兄弟姉妹、
  同父異母または異父同母の兄弟姉妹、養兄弟姉妹、
  扶養関係にある継兄弟姉妹を含む。
第1128条 被相続人の子が被相続人よりも先に死亡した場合は、
 被相続人の子の直系卑属がこれを代襲して相続する。
 2 被相続人の兄弟姉妹が被相続人よりも先に死亡した場合は、
 被相続人の兄弟姉妹の子がこれを代襲して相続する。
第1130条 第1順位の相続人が遺産を相続をするときは、その相続分は、
 原則として均等でなければならない。

これを表に直すと、このようになります。

ここをタップして表を表示Close
相続順位 相続人になる人
第1順位 配偶者・子・父母

※子が先に亡くなっている場合は、孫などの代襲あり
※子には、養子などを含む
※父母には、養親や義理の父母を含む
第2順位 兄弟姉妹・父方の祖父母・母方の祖父母

※兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、甥姪の代襲あり

ご覧いただくとわかる通り、相続順位の決まりが日本と大きく異なります
日本の法律(民法)では、

ここをタップして表を表示Close
相続順位 相続人になる人
常に相続人 配偶者

※法律婚でない配偶者は対象外
第1順位

※先に死亡している子がいる場合は、
 その子の直系卑属(孫、ひ孫など)の代襲相続あり
※子には養子を含む
第2順位 親(父母)

※父母双方とも先に死亡している場合で、祖父母が存命の場合
 祖父母が第2順位の相続人となる
※親には養親を含む
第3順位 兄弟姉妹

※先に死亡している兄弟姉妹がいる場合は、
 その兄弟姉妹の子(被相続人の甥姪)の代襲相続あり
※兄弟姉妹には異父兄弟姉妹、異母兄弟姉妹、養縁の兄弟姉妹を含む
となっているところ、中国では、配偶者と子、そして親が揃って「第1順位の相続人」として、
遺産を相続できる
ことになっています。

つまり、中国では、遺産を相続できる人が次のようになります

ここで、こちらの図をご覧下さい。
日本に住む中国人の方が亡くなった場合の相続関係説明図

※上図についての補足
 図のように、中国人と日本人の間に生まれた子(C)は、
 日本と中国の二重国籍になる可能性がありますが、
 図では便宜上、日本国籍とのみ表記しています。

上記の図のような家族構成の場合、中国の相続に関する法の規定に照らすと、

  • 配偶者B、子C、父D、母Eの全員が存命の場合
    B、C、D、Eの全員が相続人になります

     (日本では、子がいる場合、父母は相続人になりません)
  • 配偶者Bと父Dが先に亡くなっていて、子C、母Eが存命の場合
    CとEが相続人になります

     (日本では、被相続人の子と親が同順位で相続人になることはあり得ません)
  • 子Cがそもそも存在せず、父D、母Eが先に亡くなっている場合で、配偶者Bが存命の場合
    Bのみが相続人になります

     (日本では、配偶者と兄弟姉妹が共同相続人になる「第3順位相続」があり得ますが、
     中国では、配偶者と兄弟姉妹で相続順位が分けられていることから、
     配偶者がいる限り、兄弟姉妹が相続人になることはありません)

という形で、相続人が決まることになります。
日本の相続のルールと、全く異なっていることがお分かりいただけましたでしょうか。

なお、上記の図は国際結婚した場合を想定しており、
配偶者Bと子Cが日本国籍になっていますが、
家族全員が中国人、つまり配偶者Bと子Cがともに中国籍の場合も、考え方は同じです。

参考までに、法定相続分にも違いがあります

先ほどご紹介した中国の民法では、第1順位の相続人が複数いる場合、
その法定相続分は、原則として均等になる、と定めています。
つまり、

ここをタップして表を表示Close
  各自の法定相続分
第1順位の相続人 原則として均等
(=相続人の人数分の1。相続人が3人なら立場に関係なく3分の1

となるのです。
日本では、配偶者がいる場合の法定相続分について、

ここをタップして表を表示Close
配偶者以外の
相続人
配偶者の
法定相続分
配偶者以外の相続人の
法定相続分
第1順位(子など) 2分の1 2分の1
(複数人いる場合は2分の1÷人数)
第2順位(親など) 3分の2 3分の1
(複数人いる場合は3分の1÷人数)
第3順位(兄弟姉妹など) 4分の3 4分の1
(複数人いる場合は4分の1÷人数)

※半血兄弟は4分の1÷人数÷2
と定めることで、配偶者の取り分を多くする配慮がなされていますが、
中国では、相続人の人数が多ければ多いほど、配偶者の取り分が減ることになります。
もっとも、遺産分割協議で合意すれば、法定相続分と異なる割合で相続することは、
日本・中国ともに許されます。

日本に住む中国人の方が亡くなった場合、
常に中国の法律により相続人が決まるのか?

ここまで見てきたように、中国人の方が亡くなった場合、
誰が遺産を相続できるかについては、日本の相続の場合と大きく異なっています。
では、「日本に住む」中国人の方が、日本国内で亡くなった場合、
常に中国の法律によって、相続人が誰になるのか決まることになるのでしょうか。

実は、注目すべき法の規定がもう一つあります

実は、先ほどご紹介した、中国(中華人民共和国)の民法のほかに、もう一つ、
相続手続きをする上で知っておくべき法の規定があります

【中国(中華人民共和国)の渉外民事関係法律適用法(一部抜粋)】
第31条 法定相続については、被相続人の常居所地(※1)法を適用する。
 ただし、不動産の法定相続については不動産所在地法を適用する。
(※1)について
【最高人民法院の適用法の適用に関する若干問題解釈一(一部抜粋)】
第15条 自然人(※2)が渉外民事関係の発生又は変更、
 終了の時点において既に1年以上居住しかつその生活の中心とした場所は、
 人民法院(※3)は中華人民共和国渉外民事関係法律適用法に規定する
 常居所地として認定することができる。
(※2)について

自然人は、法律用語で人間を指します。
会社などを「法人」と呼ぶことから、それと区別するため、自然人と呼んでいます。

(※3)について
人民法院とは、中国における裁判所のことです。

この規定が存在するため、相続人を決める根拠法はこのようになります

上記の規定が存在する結果、日本に住む中国人の方が亡くなった場合は、

  • 日本在住1年未満=中国の民法によって相続人を決定
  • 日本在住1年以上=日本の民法によって相続人を決定

という形で、日本に1年以上住んでいたか否かによって、結論が変わる形になります。
一方で、「不動産については不動産が所在する国の法律に従う」という規定もあることから、

ここをタップして表を表示Close
遺産の種類→
↓日本在住歴
預貯金など
不動産以外の遺産
不動産
(日本国内)
不動産
(中国国内)
被相続人(中国籍)が
日本在住1年未満
中国の民法 中国の民法 中国の民法
被相続人(中国籍)が
日本在住1年以上
日本の民法 日本の民法 中国の民法

※この表では省略していますが、もし、日本に住む中国人の方が、
 日本・中国以外の第三国に不動産を所有している場合には、
 当該第三国にある不動産の相続については、第三国の法の規定によることとなります。

という形で、遺産の種類によっても、適用法律が変わることになります。
不動産の例(自宅建物)
このような形になるため、永住者の在留資格を持っているなど、
日本に1年以上住んでいる中国人の方が亡くなった場合には、
中国国内に不動産を持っている場合の、当該不動産の相続に関する部分を除き、
日本の民法に従って相続人が決まり、法定相続分も決まる
ことになります。

誰が遺産を相続できるのか?シミュレーション

では、上記でご説明した内容を踏まえて、
以下の事例の場合には誰が相続人として遺産を相続できるのか、見てみましょう。

家族構成

家族構成は下記の図の通りとします。
日本に住む中国人の方が亡くなった場合の相続関係説明図
被相続人Aが亡くなった時点で、配偶者B子C父D母E兄弟姉妹F
いずれも生存しているものとします。
また、被相続人Aは永住者の在留資格を持ち、日本に30年住んでいたものとします。

遺産の内容

被相続人Aが亡くなった時点で所有していた遺産は、次の通りとします。

《不動産(日本国内)》…土地・建物それぞれ1つずつ
《不動産(中国国内)》…建物1つ
《預貯金(日本の金融機関)》…3つの金融機関に口座を所有
《預貯金(中国の金融機関)》…1つの金融機関に口座を所有
《株式》…日本の証券会社1社の口座を通じて、日本の会社1社の株を所有
《自動車》…普通乗用車1台を日本国内に所有

この条件下で、遺産を相続できるのは…

上記の条件下ですと、遺産を相続できるのは以下の方々となります。

①不動産(中国国内)について

不動産については、所有する不動産の所在する国の法律に従うことになりますので、
中国国内にある、被相続人Aが所有する不動産に関してのみ、
中国の民法に従う
ことになります。
中国の民法では、第1順位の相続人を「配偶者・子・父母」と定めていますので、

相続人 配偶者B・子C・父D・母E

4人が相続人として、中国国内の不動産について相続する権利を持つことになります。

4人の法定相続分はそれぞれ、4分の1ずつとなりますので、
当該不動産を売却し、その売却代金を各々4分の1ずつ相続することもできますし、
遺産分割協議により、どなたか一人だけが相続することもできます。

②不動産(中国国内)以外の遺産について

一方、中国国内の不動産以外の遺産については、
被相続人Aの日本在住が1年以上という条件を満たすことから、日本の民法が適用されます。
常に相続人となる配偶者Bを除くと、子Cが第1順位の相続人となりますので、

相続人 配偶者B・子C

2人のみが、相続人として遺産を相続できることになります。

中国の民法に従えば、父Dと母Eも遺産を相続できるはずなのですが、
日本の民法が適用された結果、この2人は相続人から外れることになるのです。
つまり、配偶者Bと子Cの2人で遺産分割協議を行い、
どの遺産を相続すれば良いのか決めれば、それで足りる
ということです。

《中国国内にある「不動産以外の遺産」にご注意》

一点、今回の事例でご注意いただきたいのは、中国の金融機関に預貯金があるという点です。

中国の金融機関に口座があるとなると、そちらの相続手続きについては、
中国の民法に従って手続きをする…というイメージを持ってしまうかもしれません。

しかし、不動産以外の遺産については、今回の事例ですと、
日本在住1年以上なので、日本の民法に従って手続きをすることになります。
そのため、中国の金融機関にある口座ではありますが、父D・母Eは相続人にならず、
配偶者Bと子Cの2人のみが、相続人として手続きに関わることになるのです。

まとめ

この事例のように、日本に1年以上住んでいた中国人の方が亡くなった場合において、
不動産が中国国内にもある場合は、中国国内にある不動産と、それ以外の遺産とで、
相続人の範囲が変わる
、という点は、ぜひ覚えておいていただければと思います。

なお、この事例では国際結婚を想定し、配偶者Bと子Cを日本国籍としていますが、
配偶者B・子Cともに中国籍の場合にも、考え方は全く同じです。

日本に住む中国人の方が亡くなった際は、専門家にご相談を

日本に住む中国人の方が亡くなった場合は、ここまでにご案内してきました通り、
誰が相続人として遺産を相続できるのか、正確に見極める必要があります

また、この記事ではテーマから外れるため、詳しく取り上げませんでしたが、
中国人の方の相続手続きをするためには、日本人の方が亡くなった場合と比べて、
金融機関などの手続き先に提出する書類の種類が異なります
そのため、必要な書類を確かめ、揃えるだけでも、ものすごい手間がかかってしまいます

だからこそ、中国人の方と国際結婚したなどで、中国人の方の相続手続きに直面した際には、
相続の専門家を頼ることを、強くお勧めいたします

なお一点、「相続手続きを頼むなら、
在留資格の取得や更新でお世話になった行政書士や弁護士に頼もう

とお考えの方がいらっしゃるかも知れません。

しかし、在留資格の専門家が、必ずしも相続に詳しいとは限りません
ですので、相続手続きが必要になった際には、「相続の専門家」を頼るのが一番です。
参考になれば幸いです。

当事務所でも、ご対応できます

なお、手前味噌で恐縮ですが、当事務所の「相続手続きサービス」でも、
日本に住む中国人の方が亡くなった場合の相続手続きにご対応可能です

相続手続きの専門家として、必要な書類の収集や遺産分割協議書の作成、
金融機関での解約払い戻し手続きなど、必要な手続きをサポートいたします

サービス内容につきましては、別ページにてご紹介しております。
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